Parrotの農業ドローン,日本でも活用となるか?




どうも,野良百姓です.

個人的に昔から気になっていたParrotについて,ニュースとなっていました.そこで,農業関連企業として見た,Parrotについて,また,日本の農業ドローンについて少し考えていきたいと思います.

Parrotとは

Parrotは,フランス・パリに本社を置く通信機械メーカーです (EPA; PARRO).会社のIR資料によると,商業用ドローンの業界では首位,個人用のドローンでは中国のdjiに次いで二番手の業界トップクラスの企業とのこと.

企業規模としては時価総額2.7億ユーロ (約330億円),従業員数約960人とソコソコの大きさのベンチャー企業といえましょう.2015年度の事業の売上内訳は,ドローンが57%,車載機器が39%,Bluetooth機器類で4%となっています (IRデータより).PioneerなどのOEMも行っているので,日本でもここの製品が実は使われているのかもしれません.

2012年には農業ドローンを製造していたアメリカのSenseFly社を買収し,関連会社のPIX4Dでは立体画像解析アプリの開発を行っています.
また,植物をセンシング技術を用いて栽培するスマート植木鉢のParrot POTを2016年から販売しています.

Parrotの農業関連製品

ここでは,Parrotの農業関連と考えられる製品について簡単に紹介していきたいと思います (以下で用いている画像は,すべてParrotおよびsenseFly社のHPから拝借しております).
私自身はドローンの法規制などについて全く詳しくないので,ドローンの飛行の際には皆様自身で航空法などの規制の確認をお願いいたします.

eBee

Parrotの子会社であるsenseFly社の製品です.

最新モデルだと,重量約700g,飛行時間が50分,1飛行での観測可能面積が12平方キロとなっています.
自動飛行も可能となっており,定期的に農場の上を飛ばす,という運用も可能と思われます.
能力が高い分,お値段も張っておりまして,5月27日時点では11,689USDとなっております.大体120万円というところでしょうか.

PIX4Dでの画像解析もオプションで可能となっているので,生育速度などを確認し,肥料の散布などに役立てる… といった運用が可能だと思われます.

他社の農業用ドローンというと,農薬の散布が可能であったり,種子の播種ができるものであったりと実際の農作業の手間を減らすという方向が主流ですが,IoTだの農業ITだの言っているこのご時世ですので,成長程度の解析を行えるというのは非常にありがたいものではないでしょうか?
というのも,肥料にしろ農薬にしろ,撒く適切なタイミングというものがあります.それを解析するためには,どうしても成長解析のような手法を用いるところが必要ですので,このようなドローンの価値は高いのではないでしょうか.

DISCO

Parrot本体で開発した製品です.

現在産業用モデルの諸元はHP上に見当たらなかったので,一般向けのデータを今回は紹介することにします.
重量750g,バッテリー持続時間が45分とeBeeeと比べて連続飛行には向いていないようにも思われます.フルHDカメラが搭載されています.価格はまだ出ていませんが,eBeeよりも少し安い10,000USDあたりではないかと予想します.

農業向けに利用される場合は,フルHDカメラをPIX4D対応のものに切り替えてくるのではないかと考えられます.また,自動飛行も可能にするのではないでしょうか.
これの用途も上で挙げたeBeeと同じような用途を考えているものと思われます.

PIX4D

上で何度も触れている,イケてる成長解析ソフトPIX4Dです.Pix4Dというスイスの会社が制作しているものですが,Pix4Dの株式の50%はParrotの出資だということで,今回こちらに放り込みました.

農家の方で,こう考えることありませんか?

これ,育ってるの?と.

そう.育ちの速さや程度が不明だと,生育不良だから肥料を与えるべきなのか,それともこの品種はこれが普通なのか,ということが分からないということがあるはずです.そうした時に,Pix4Dで解析してあればこれが普通なのか異常なのか,ということが分かりますし,定量的に評価することができます.

例えば,自分のAという畑ではよく育っていて,Bという畑ではイマイチということがあるかもしれません.こういう時に比較するとAが育ちすぎなのか,Bが遅れているのかということを確認できます.
そういう意味では,大規模に生産すると便利に使うことができるかもしれませんし,研究をする際に,広い圃場を細かく分割して様々な条件や品種を用いて栽培試験をする時にも有効なのではないでしょうか.

Parrot POT

Parrotは以前にFlower Powerという植物が成長する土壌の状態を確認し,「水を上げてください」とか「肥料を与えてください」といったお知らせをスマートフォンに送る生育確認機器を製造していました.

確かに,よく知らない植物を始めて育てるのであればこれでもいいかなと思わないではないでしょう.しかし,ガーデニングをする方が新しく植物を買うときは栽培方法をよく調べていたりするので,お知らせを送るというだけなら,IT化したからといってそれほどありがたみを感じないわけです.
なぜなら,普段からよく観察しているから.

そういうわけで,水やりのタイミングが分かるんだったら機械があげればいいじゃない!!という発想から制作されたものが,Parrot POTというわけです.
以前の製品のFlower Powerと同様,様々な植物に対応しており,鉢の中に入っている植物を登録しておくことでそれに適した水やりを行うというものになっています.
長期で家を空けてもそれなりに育つっていうことなんでしょうね.バカンスとかが長いからそういう発想に至ったんでしょうか.

結論にかえて

Parrotの製品をいろいろと紹介してきましたが,日本での農業機械企業としてポジションを作れるのか,ということを最後に考えていきましょう.

Parrotにせよ,その他の企業にせよ,ドローンを製造する会社はやはり新興企業です.
となると,日本の農家の方からすれば「よくわからん会社」という風にとらえられてしまうと考えられます.農業機械といえばクボタ,ヤンマー,井関,三菱,やまびこ…といったところでしょうから.

そのため,こういった企業が日本でポジションを作っていくためには既存の農業機械企業との提携が必要であることは言うまでもないでしょう.すでにクボタは日本のプロドローン社と提携をして小型農薬散布ヘリ農薬散布ドローンの開発を進めています.

国内勢も開発をしていくとは思いますが,既に海外で使用実績があるものを持つParrotは,クボタ以外の会社と提携していくことがいいのではないでしょうか.
これは,クボタが国内でのみ展開している営農システムKSASに既に存在しているParrotのドローンを連携させることに時間を使うことが無駄であると考えられるためです.
そのため,例えばJA三井リースなどが提携先の有力候補になるのではないでしょうか?

私としては,既に米国などで実績があり,立体画像解析アプリの開発も行っているParrotの農業ドローンが日本で広く使われることで,日本国内で様々なタイプの産業用ドローンの開発が進むことを願っています.




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ABOUTこの記事をかいた人

研究者になることはやめましたが,農とともに心はあります. 何とか「修士(農学)」の学位を獲得できた模様.このブログもそろそろ真面目に書かないと... と思っています.